Hai Binhカシューナッツ ー 地域の逸品からグローバ ル農業バリューチェーンへの挑戦
ザライ省、2025年6月
2025年ザライ省国際企業とのビジネスマッチング・輸出促進会議の一環として、日本およびラオス
人民民主共和国からの輸入業者・流通関係者による訪問団が、ベトナム中部高原に拠点を置くHai
Binh Cashew Joint Stock Companyを視察しました。同社は、農産物の高付加価値加工と商業化にお
いて注目される存在です。
会議に参加した来賓が、Hai Binh Gia Lai Cashew Nutsについて説明を受ける様子
伝統工芸村から現代的輸出工場へ
Hai Binhは、地域に根差した伝統と国際基準の融合に成功した企業の一例です。設立から10年以上に
わたり、同社は「薪火焙煎」という伝統技術を製品の核として守り続けてきました。
工業用ボイラーを一切使用せず、地元産の広葉樹などの天然薪を使い、熟練の職人たちが色・音・香
りを頼りに焙煎時間を見極める「耳と目で焼く」手法で仕上げます。これは機械には真似できない、
職人技の真髄です。
この方法により、カシューナッツ本来の甘みや精油成分、保護膜が保たれ、風味と栄養価を両立した
製品が生まれます。訪問した日本企業のバイヤーからは、「手仕事の温もりと文化的背景が感じられ
る」として高い評価を受けました。
Hai Binh Cashew工場(ザライ省)における伝統的な薪焙煎の工程
海外バイヤーが評価する「本物」の価値
視察中、国際パートナーたちは、Hai Binhによる手剥き加工、ザライ産の厳選された原料の使用、そ
して明確なトレーサビリティ体制に特に感銘を受けました。これらは単なる品質向上にとどまらず、
プレミアム市場において重要視される「ブランドストーリー」の構築にも寄与しています
丁寧に一つずつ手作業で薄皮を剥く作業を行う現場の様子
NK HOLDINGS ― 持続可能な連携エコシステムの要
今回の訪問は、ベトナムの生産者と日本の流通システムとの橋渡し役を担うNK HOLDINGSとの連携
により実現しました。NK HOLDINGSは、Hai Binhの以下の領域を重点的に支援しています。
- 日本市場に適したパッケージデザインの刷新
- トレーサビリティコードやQR管理を含む法令遵守・文書整備の標準化
- 「オーガニックギフトセット」としてのブランド再構築(空港、百貨店、季節ギフト需要を想定)
- ストーリーテリングや知的財産、パッケージ表現に至るまで、日本市場参入に必要な包括的支援
NK HOLDINGSは単なる商社ではなく、生産者と共に考え、共に育てる“共創パートナー”とし
て機能しています。
日本の視察団がザライ省の Hai Binh Cashew Joint Stock Companyを視察している様子
国際視察団の声
「Hai Binh社が、伝統的な薪火焙煎を現代の品質管理の中で維持している点に感銘を受けました。日
本市場でも重要視されている“職人技”と“地域の伝統やストーリー”という価値観に非常にマッチして
います。」
— 日本ビジネス代表団・参加者
「私たちが求めているのは、単なる優れた商品だけでなく、日本の消費者に“語れる物語”です。Hai
Binhにはその両方があります。」
— 東京の高級食品流通チェーンのバイヤー
地域ブランドから国家ブランドへ
Hai Binhの軌跡は、成功に必要なのは規模ではなく、「正しい戦略」「正しい市場」「正しいパート
ナー」であることを示しています。丁寧な標準化と市場接続により、地方ブランドであっても世界市
場での存在感を確立できる――それがHai Binhの挑戦であり、成果です。
丁寧に一つずつ手作業で薄皮を剥く作業を行う現場の様子